追記-専門職大学法案成立に思うー

専門職大学法案が成立した。少しずつ、思うところを述べていきたい。 高専との整合性はついに論じられなかった 筆者は、高専は専門職大学制度に合流すればいいのではないかと述べた。その中で名を取り実も取るー皮肉にも内容が空っぽの新制度なのであるから…

終章

私は従順であった。高専は高校と大学と合わせた内容であり、高校と大学のカリキュラム上の重複をなくせば、一般科目も専門科目も大学にも劣らないという。私は、1年経過した頃から、どうもそうではないと感づき始めたが、そうであるなら、自分で補おうと思…

第10章ー実践教育は高専の独占物ではないー

高専教育の残る拠り所は、「実践的」「実習重視」「即戦力」ということになろう。特に、実習重視は設立当初から行われてきたことであり、確かに時間数が多い。高専は、大学との差をこのような教育目標に求めてきた。ところが、このような、教育目標は、実は…

第9章-複線化への覚悟があるのか、複線化の意味がわかっているのかー

1.天野提案・職業高校昇格による公立高専増加とその問題点 実は、天野郁夫『日本的大学像を求めて』(230頁)においては、地方公共団体が地方の職業高校の年限を2年延長した形で公立高専をもっと作ってはどうかという、提案が示されている。この1991…

第8章ー単純な論理、そして骨太の試案ー

1.単純な論理 そもそも、高専設立当初から「大学相当」「中堅技術者」などという宣伝を行わず、“中等教育”の延長した5年制の工業高校とし、その内容も「中級」としてくれるか、そもそも最初から高専など作らなけらば、優秀者を誘ったことが問題の端緒とな…

第7章ー高専は職業専門大学へ合流せよー

職業専門大学が議論されている。実は、私はこれを評価している。 学力・能力である層(例えば15パーセント)までは大学工学部でよいが、それ以下の学力・能力層にとっては、やはり、実践的職業教育でいいのではないか。つまり、政府が言いたいことが、学力中堅下位…

第6章-高専増設批判(2)ー

かくして、高専増加と分野拡大は、そもそも高専がそうであるように、非常に大きな矛盾と衝突を生み、最後には失敗すると考えられるのだが、ここでは、先の教養問題と同様、ある書物とある研究者のことばを引用させて頂きながら、結語としたい。 どんなに大学…

第5章-高専増設批判(1)-

平成28年目下の職業専門大学構想とは別に、それに先立って、高専の6年制化、学士の学位授与、早期の大学院進学、一県一校化、他分野への拡大などの、高専改革方針が、与党の一案として示されている。 1.職業専門大学構想との関連性のなさー学位授与権に…

第4章-高専はモデルにあらず!(2)モデルの揺らぎと矛盾ー

せっかく『モデル』のような高専内部者に登場頂いたので、これが高専の入り口(入試)と出口(教育効果)について、どのような評価を下しているか、これを見た後、その矛盾を指摘しておきたい。ちなみに、ここで言われていることは、高専関係者のみならず他…

第3章-高専はモデルにあらず!(1)数学力と英語力の欠如-

1.ある小論から かつて、学力低下と「ゆとり」教育批判の文脈で、西村和雄ほか編『分数ができない大学生』が話題となった。この時代の、これらの問題提起は、その後の教育政策にも影響を及ぼした。 ところで、同じく西村氏が編者となった『ゆとりを奪った…

第2章-高専教育の教養軽視と教養蔑視(2)2つの書物から-

最後に、2つの新書から、引用させていただきたい。 「単純な種類の無知に対処する技術は職人的な専門技術の教授と呼ばれた。これにたいして『大きくて厄介な』種類の無知に対処する技術には、教育・教養((Paideia)という呼び方がほとんど全ギリシア人の間に…

第1章-高専教育の教養軽視と教養蔑視(1)ー

1.教養軽視の構造問題 高専の学生は、専門科目に比べて教養がなさすぎる(あるいは、端的に教養がない、教養がなさすぎる)と言われる。 (1)第一に、それは、当然の帰結である。そもそも学校の設立趣旨が、短期で大学工学部並みの工学の学力を身につけ…

高専問題ー序章-

1.はじめに 高等専門学校(高専)という学校がある。 設立当初から問題の多かったこの学校制度だが、今日に至ってもなお、構造的な問題は残ったままである。そして、その問題性は今後も有効に解決されることはない。なぜならば、その問題性とは、この学校…